モラルハラスメント

「ハラスメント=嫌がらせ」と訳されます。
職場などでのセクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントという言葉は、現在では一般的なものになりました。

しかし、「モラル・ハラスメント」という言葉は、まだ理解されにくいといえるでしょう。
モラル・ハラスメントは、言葉や態度による精神的な嫌がらせです。
人格的に問題のある人が、ゆがんだ自己愛を充足させようと、家族や同僚などを非難する行動を繰り返し、相手の心を支配する行為をいいます。
一種の精神的虐待であるともいえるでしょう。

DV防止法でいう精神的虐待には、このモラル・ハラスメントの事例が多く含まれています。
身体的暴力のような証拠がなく外からは理解しにくいため、単なる亭主関白やカカア天下のように見えることも。
また加害者は周囲にはいい夫(妻)のように見えるので、他人に相談しても「非難される被害者にも落ち度はある」といわれることさえあります。

言葉や態度で繰り返し示される「お前はダメだ、ここが悪い」というメッセージは、被害者の心にダメージを与えて自尊心を傷つけます。
そして加害者の判断に従うしかない状況になり、ときにはうつ状態やPTSDを引き起こすこともあります。
何より被害者自身が、その異常な状況に対し、精神的な虐待を受けていると認識できなくなることが問題です。
加害者は「相手のことを思って注意している」「自分が正しい」と信じ、どんな問題が起きても「こうなったのは相手が悪い」と思い込みます。
本人に虐待という意識はないため、カウンセリングでも状態が改善されることは厳しいといわれています。

モラル・ハラスメントのさらに複雑な点は、相手が「口うるさい」のか「人格的に問題があるのか」、線引きが難しいところにあります。
単に「口うるさい」だけの言動に対しても、モラル・ハラスメントと非難するケースがないとはいえません。
いずれにしても、一方が心に深い傷を負って離婚を決意した場合、夫婦関係を修復するのは難しいでしょう。