離婚に際して決めるべきこと

子ども

かつては「離婚したら、子どもは母親が引き取るもの」という暗黙的なものがありましたが、最近はシングルファーザーが増加傾向にあります。
以前よりも自分の手で子どもを育てたいと望む父親も増え、親権問題はますます複雑になっています。

現実に目を移せば、子どもと同居していない側の親が保育園などに迎えに行って子どもを連れ去り、帰さないというトラブルも起きています。
これは、親権問題のこじれや、子どもとの面会がままならないことへの不満などが元凶にあるようです。
夫と妻の両方が納得できる状況をつくれるかどうかは、子どもの幸せにも関わってきます。

子どもがいる夫婦は、離婚に際して、夫と妻で決めておくべき項目が3点あります。

  1. 親権者(監護者)
  2. 面接交渉権
  3. 養育費

親権とはなにか?

離婚の際は必ず子どもの親権者を決めなくてはいけません。
親権には、子どもの身上監護権と財産管理権が含まれます。
身上監護権は子どもを守り育てる権利、財産管理権は子どもの財産を守り管理する権利のこと。

親権は子どもと一緒に生活できる親の権利だと思われるかもしれませんが、実際は躾や教育、世話をし、子どもが健全に生育される環境を用意する義務と言ってもいいでしょう。
親権者をどちらにするかは、話し合いで決めるのが一番ですが、決まらなければ家庭裁判所に調停を申し立てて決めます。

どちらが親権者になるかの認定に際して優先されるのは、子どもの利益です。
考慮されるのは、①監護能力 ②心身の健康・性格 ③子に対する愛情・熱意 ④経済力 ⑤居住環境 ⑥監護補助者(たとえば祖父母)等の援助体制の有無などです。
子どもが一方の当事者のもとで一定期間にわたり平穏に生活している場合には、裁判所でもそうした現状が考慮されます。

子どもが乳幼児の場合は母親が親権者になるケースがほとんどですが、画一的に決められているわけではありません。
もし離婚前の別居中に、子どもが祖父母と父親のもとで育てられているような場合は、そのまま父親が親権を取ることも少なくないのです。

裁判所は、子どもが15歳以上のときは子どもの意見を聞かなければいけませんが、15歳未でも10歳以後からでは、子ども自身の意思も考慮されるようです。
とにかく、あくまでも子どもが育つ上でよりいい環境だと判断されたほうが親権者になります。

子どもに会うには?

次に問題になるもは、面接交渉です。
離婚後、親権者(監護者)にならなかった親から見ると、子どもと会って一緒に時間を過ごしたり。
電話や手紙などのやりとりをする権利ですは、実際は子どもが健全で幸せに成長するために実施されるものです。

面接交渉の取り決めは、頻度、面会時間、宿泊はしてよいか、学校行事へ参加してよいかなど、離婚時にできるだけ細かく決めておくほうがいいでしょう。
そうでないと、争いのもとになることが多いのです。
話し合いで決まらなければ、家庭裁判所に調停、もしくは審判の申し立てをして取り決めをします。

面接のときに優先されるべきは、子どもの利益と福祉に適うかどうかです。
たとえば、面接の日であっても、子どもの体調が悪いときなどは面会を拒否する理由になります。

なお、子どもが面接交流を実施すると決まって体調を壊したり、情緒不安定に陥ったりするなど、面会が子どもの心身のストレスになっているような場合には、面会が制限されることもあります。
同じく子どもへの暴力、虐待が見られた親が会いたいといってきても、認められないことがあります。

家庭裁判所で面接交渉の内容が決められても、元配偶者を恨んでいるあまり、何かと口実をつけては子どもに会わせなかったり、連れ去りが起きたり、とうまくいかないケースが多々あります。
そんなときには力を貸してくれる相談窓口もあります。
このような民間団体では、面会の取り決めをしてくれたり、立ち会ってくれるなど、面接交渉が円滑に進む手助けをしてくれます。
もし面接交渉がこじれているなら、相談してみるのも一案でしょう。

子どもの氏は、自動的に変更されない

子どもの氏=姓は、離婚によって、親権者と同じ姓になると思っている人が少なくありません。
しかし、家庭裁判所で手続きをしなければ、子どもの姓は離婚時のままなのです。

離婚によって母親は実家の戸籍に戻るか、自分が筆頭者になって新しい戸籍を作ります。
原則として旧姓戻りますが、離婚後3ヶ月以内なら婚姻中の姓を使い続けることも選べます。

一方、子どもには親が離婚しただけでなく父親の戸籍に残ったままなので、子どもは元夫の姓を名乗ることになります。

一緒に暮らす母子の姓がちがうことで不都合も起きますし、心理的に子どもの負担を感じるかもしれません。
単に母子が同じ姓を使えればいいというなら、妻が婚姻中の姓を使い続ければいいわけですが、自分と子どもの籍を一緒にしたいというなら、子どもの姓を変更しなくてはいけません。

子どもの姓を変更したい場合、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申し立てをします。
その許可が下りたら、市区町村役場の戸籍課に子どもの「入籍届」をします。

子の氏の変更許可の申し立ては、15歳未満の子どもなら親が、15歳以上の子どもなら本人が申立人となります。
15歳未満の子どもの場合、自分の意思とは関係なく姓が決められてしまうので、成人してから1年以内なら、違う姓にすることができます。

DVに遭ったらすべきこと

2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、いわゆるDV防止法ができました。
しかしこの法律成立後も、現在までで配偶者暴力相談支援センターによせられる相談件数や警察対応件数は増加し続けています。

トメスティンクバイオレンス(家庭内暴力、DVとも)には、身体的暴力、精神的暴力、性的暴力などさまざまな形があります。
家に生活費を入れない、通帳を取り上げるなどの経済的暴力、常時、携帯電話などの履歴をチェックして文句を言う、人付き合いを制限するなどの社会的隔離もあります。

ひどい身体的暴力被害に遭ったならば、できればその場で警察を呼びましょう。
それが無理でも、一度警察へ出向いて被害状況を相談をするといいと思います。

病院では「自分で転んだ」などと嘘をつかず、夫からの暴力であることを説明しましょう。
DVを受けていることを人に知られたくない気持ちもわかりますが、そうしたカルテが残っていると、のちに離婚になったときに慰謝料請求の根拠になります。

生命や身体に危険が及ぶ身体的暴力がいちばん問題視されますが、実は精神的暴力も被害は深刻です。
何をしても認めてもらえない、無視し続ける、人格を否定するような言葉を浴びせられるなどの精神的暴力を受け続けると、実際に精神的DVに遭っている被害者は、「お前が悪い」と言われ続けるために、精神的に追い込まれ、PTSD(心的外傷ストレス障害)やうつを発症するケースもあります。

もし配偶者からのDVがきっかけで精神科や心療内科に通院しているのなら、裁判ではそれもDVの証拠になります。
病院では正直に話しましょう。

暴力をふるう側は、相手に対し「お前が悪い」と言い続けます。
だから被害者は「自分が悪いんだ」と思い込んでしまうのです。
全然悪くないのに…。
また、加害者は暴力をふるったあと、「悪かった、二度としない」と反省しては、また繰り返すのが常道です。
暴力と優しさの振れ幅はエスカレートしていく一方で、第三者の仲介ないしにはその連鎖は止まりません。
DV被害を受けたら、できるだけ早く地元の警察や相談窓口にに相談してください。
場合によっては、警察へ傷害罪、暴行罪で告訴することも考えるべきでしょう。

相手から何をされるかわからないという切羽詰まった状況では、DVシェルターなどに一時的避難する方法もあります。
DVから逃れるために、新しい土地で別居する場合は、当面、住民票は移さないでおいたほうがいいでしょう。
その方が相手に探し出されにくいからです。

暴力や脅迫などが治まらなければ、申し立てをして、裁判所から保護命令を出してもらえます。
保護命令とは、加害者から被害者に対する暴力などを防ぐため、裁判所が加害者に対し被害者に近寄らないよう発する命令です。
接近禁止命令や、退去命令、電話等禁止命令などがあります。
子どもを連れ去る危険のあるような場合には、子への接近禁止命令を申し立てることもできます。
この申立をするのに、子どもが15歳未満であれば子ども自身の同意は不要です。
保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

DVは、離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」にあてはまります。
こうした配偶者とは、離婚をするといっても話し合いになりませんので、協議離婚は難しいです。
調停から裁判までいくことを覚悟しておきましょう。
調停の申し立ての際には、DVを受けていることを告げましょう。
調停の場で顔を合わさずに済むよう配慮してくれます。
また、相手の暴力についての証拠固めのため、身体的暴力を受けたときは、ケガやアザなどの写真を撮っておいたり、何をされたかを忘れないうちに、できるだけ日時などを具体的に書きとめておきましょう。